介護で舌苔や口臭が気になるとき、どうケアする?

介護で舌苔や口臭が気になるとき、どうケアする?

介護中に舌苔(ぜったい)や口臭が気になるときは、口の中を湿らせてから、舌・歯・歯ぐき・入れ歯をやさしく清掃するのが基本です。舌苔だけを強くこすっても、口の乾燥や歯周病、入れ歯の汚れなどが残っていると、口臭が続くことがあります。

むせやすい人、飲み込みに不安がある人、出血や強い痛みがある人は、無理にケアせず、歯科医師や歯科衛生士、主治医に相談してください。

舌苔と口臭が気になるときの基本ケア

口腔ケアは、本人の体調が安定している時間に、座った姿勢または上半身を起こした姿勢で行います。仰向けのまま水や唾液がのどに流れると、むせることがあるためです。

  1. 姿勢を整える
    椅子に座る、またはベッドの背を起こします。頭を少し横向きにすると、口の中の水分を吐き出しやすくなります。
  2. 口の中を観察する
    舌の白っぽい付着物、歯垢、歯ぐきの腫れ、出血、傷、口内炎、入れ歯の汚れがないか確認します。
  3. 口の中を湿らせる
    口腔保湿ジェルや湿らせたガーゼなどを使い、乾いた汚れをふやかします。水分を口に含むことが難しい人は、無理にうがいをさせません。
  4. 歯と歯ぐきを清掃する
    歯ブラシを小さく動かし、歯の表面だけでなく歯と歯ぐきの境目も磨きます。歯が少ない場合も、残っている歯を清掃します。
  5. 舌をやさしく清掃する
    舌ブラシややわらかい歯ブラシを舌の奥から手前へ軽く動かします。奥へ押し込んだり、何度も強くこすったりしないでください。
  6. 汚れと水分を取り除く
    うがいができる人は吐き出してもらい、難しい人はスポンジブラシやガーゼで口の中に残った汚れや水分を拭き取ります。
  7. 最後に保湿する
    口の中や唇の乾燥がある場合は、口腔保湿ジェルなどを薄く塗ります。使用方法は製品の表示に従ってください。

舌苔を取るときの正しい方法

舌苔は、舌の表面に付着した細菌、食べかす、粘液などが混ざったものです。少量の舌苔は珍しくありませんが、厚く付着すると口臭の原因の一つになることがあります。

舌の清掃は、1日1回程度を目安に、汚れが目立つ部分だけを軽く行うとよいでしょう。舌の表面は傷つきやすいため、白い部分を完全に取ろうとして力を入れないことが大切です。

  • 舌ブラシや毛先のやわらかい歯ブラシを使う
  • 舌の奥から手前へ、軽い力で動かす
  • 1回ごとにブラシを洗い、汚れを落とす
  • えずきや痛みが出たら中止する
  • 出血、ただれ、傷がある部分はこすらない

舌苔が乾いて固まっているときは、先に口の中を湿らせます。乾いたまま削り取ろうとすると、舌を傷つけたり、出血したりすることがあります。

口臭を減らすには、舌以外の清掃も必要

口臭があるときは、舌だけでなく、歯垢、歯周病、むし歯、歯と歯の間の汚れ、入れ歯、口の乾燥なども確認します。舌苔を取っても口臭が改善しない場合は、原因が舌以外にある可能性があります。

歯と歯ぐき

歯ブラシで歯の表面と歯ぐきの境目を清掃します。歯と歯の間に汚れが残る場合は、本人が使える範囲で歯間ブラシやデンタルフロスを使用します。介護者が行う場合は、歯ぐきを傷つけないよう、無理に器具を入れないでください。

歯ぐきの腫れ、出血、膿、歯のぐらつき、強い痛みがある場合は、歯周病やむし歯などの確認が必要です。口腔ケアだけで様子を見続けず、歯科への相談を検討します。

入れ歯

入れ歯を使っている場合は、外せるものは外して、入れ歯用ブラシなどで清掃します。通常の歯みがき粉は入れ歯を傷つけることがあるため、使用する場合は入れ歯に使える製品か確認してください。

入れ歯だけでなく、入れ歯が接する歯ぐきや上あごも清掃します。入れ歯のひび、変形、痛み、外れやすさがある場合は、自己判断で削ったり接着剤で固定したりせず、歯科で確認してもらいます。

口の乾燥

口が乾くと、唾液による自浄作用が弱まり、舌苔や口臭が生じやすくなります。室内の乾燥、口呼吸、薬の影響、飲水量の不足などが関係することがありますが、原因は一つとは限りません。

飲水制限がない人であれば、本人が安全に飲める範囲で水分をとります。ただし、心臓や腎臓の病気などで水分量を指示されている人、嚥下障害がある人は、自己判断で水分を増やさず、主治医や訪問看護師に確認してください。

水分を飲み込むことが難しい場合は、口腔保湿ジェルや保湿スプレーなどを使えることがあります。使用前に、誤嚥しにくい姿勢や量について、医療・介護職に相談すると安心です。

むせやすい人の口腔ケアで注意すること

飲み込みが不安定な人には、口に水をためるうがいを無理にさせないでください。水分や汚れが気管に入るおそれがあるため、湿らせたスポンジブラシやガーゼで少量ずつ清掃し、こまめに回収します。

  • できるだけ座位、または上半身を起こした姿勢で行う
  • 水を大量に使わない
  • 一度に口の奥まで器具を入れない
  • 咳き込み、声の濡れたような変化、息苦しさがあれば中止する
  • ケア後すぐに寝かせず、状態を確認する

むせが頻繁に起こる、ケアのたびに咳き込む、食後に声が濡れたようになるといった場合は、嚥下機能の評価が必要になることがあります。主治医、訪問歯科、歯科衛生士、言語聴覚士などに相談してください。

舌苔や口臭について受診を考える目安

次のような場合は、舌苔だけの問題と決めつけず、歯科や主治医に相談します。

  • 舌苔や口臭が続き、清掃しても改善しない
  • 舌、歯ぐき、頬の内側に痛みや出血がある
  • 口内炎や傷が治らない
  • 白い付着物が広がっている、または拭っても取れない
  • 歯ぐきが腫れている、膿が出る、歯がぐらつく
  • 入れ歯が痛くて使えない
  • 口の痛みや乾燥で食事や水分がとれない
  • 発熱、顔の腫れ、強い痛みがある
  • 飲み込みにくさやむせが急に悪化した

特に、顔や首の腫れ、息苦しさ、強い痛み、意識の変化がある場合は、通常の口腔ケアで様子を見ず、緊急性を含めて医療機関へ相談してください。

介護で続けやすい口腔ケアのポイント

口腔ケアは、汚れが目立つときだけでなく、毎日の習慣にすることが大切です。基本は、食後の歯みがきと、就寝前の丁寧な清掃です。本人の体力や嚥下状態に合わせて、できる範囲で行います。

  • 毎回の食後に、口の中に食べ物が残っていないか確認する
  • 少なくとも就寝前は、歯・歯ぐき・舌・入れ歯を清掃する
  • 本人ができる部分は任せ、難しい部分だけ介助する
  • 痛みや疲れがある日は、短時間に分けて行う
  • 使った器具は洗浄し、清潔に乾燥させる
  • 口臭、出血、むせ、舌苔の変化を記録しておく

介護で舌苔や口臭が気になるときは、舌を強くこするのではなく、姿勢を整え、口の中を湿らせ、歯・舌・歯ぐき・入れ歯を順番にやさしく清掃することから始めます。口臭が続く、痛みや出血がある、飲み込みに不安がある場合は、歯科や主治医に相談して原因を確認してください。